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紅子

30 テレビで見た人


ほんまにあかん事どすにゃけど、うちはお顔とお名前を一致して覚える事が

苦手どすねん

お顔は覚えてますにゃけどお名前が出てけぇへんってな事はしょっちゅうで

お帳面にお名前とそのお方の特徴を書いたり似顔絵にしたりしてお客さんを

覚える様にしていました。

芸妓に衿替えしてからのお話どす。

嵐山の天龍寺辺りを歩いていた時、向こうからどっかでお目にかかったなぁ

と思う人が歩いて来られます。

「どなたやったやろう?どこでお目にかかったんやろう?」

どない考えても思い出さしまへん。

とうとう、そのお方が目の前へ来てしまわはって、どうしょうもないのんで

「こんにちわ、長い事どす。お変わりのうて何よりどす。」

とご挨拶しましたら、あちらさんも

「いや~こちらこそご無沙汰」と返してくれはりました。

お話の感じから東京のお方やなぁと思たんで

「今回はお仕事どすか?ご旅行どすか?」と言いましたら

「今回はプライベートです」とお言いやすので

「そ~どすか、そらよろしおすなぁ。楽しんどくれやっしゃ。ほな又おおきに」

と言いました。

「ありがとう。ではまた」と一礼して歩いて行かれました。

それから何日もして思い出しました

「そうや!あの方テレビに出てはる俳優さんや」

「てっきりお座敷でお会いしたと思てたけど私がテレビで見ただけで相手は私の事

知らはらへんわ~。どうしよう~恥ずかしわ~」

お相手は私の事、どこの誰?と思わはった事やろうに丁寧にご挨拶して下さって

人気商売の方とはいえ、お優しい方やなぁと恥ずかしさで顔を真っ赤に

しながらも感謝しましたぇ

おおきに  又  おはように

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